限界秘境駅 飯田線
 



飯田線は愛知県豊橋市の豊橋駅から
長野県上伊那郡辰野町の辰野駅までの
地方交通線です。
営業キロ数:195.7km/駅数:94

飯田線は営業キロ数に比し
駅数が94と無類の数を誇ります。
似たような例で見てみると、
土讃線は198.7kmで61駅です。

ローカル線最長の宗谷本線に至っては
259.4kmにして53駅のみとなっています。

山峡の地を這う列車と言えば、
気動車がコトコトとレール音を靡かせ、
カーブではフランジ音に変わり、
のんびりとローカル線を走る情景を
思い起こしますが、
この路線ではその背景にやや似つ
かわしくないようなオール電化となっています。


車での進入が不可能な駅が3駅もあり、
列車ですら困難を極める状況です。
如何に飯田線が駅撮者を腐心させることか。

期待は大きかったが労を多とした割には、
本線上の既撮駅からは何一つお宝を
確認することはできなかった。

以前は中部天竜駅構内に鉄道博物館
「佐久間レールパーク」があり
新幹線を初めとして電車、気動車、客車、
貨車などが多数展示されていたが、
平成21年11月には閉館され、展示車両の大半は
リニア・鉄道館(名古屋市)に移設された。


他方、沿線の北部西嶺には「木曽駒ヶ岳」
「越百岳」「空木岳」「恵那山」など
中央アルプスの木曽山脈が走ります。
また東部には広大な山域を有す南アルプスが
120kmに渡って南北に連なり、
「甲斐駒ヶ岳」「仙丈ヶ岳」「北 岳」「塩見岳」
「赤石岳」「聖岳」など
3000m級の峻嶽な赤石山脈を構成します。
まさしくそこは日本の屋根です。


辰野駅を出発した列車は「中央アルプス」
と「南アルプス」の両麓を
のどかに走りますが、天竜峡より景観は一変し、
渓谷はV字谷を形成し
列車はその僅かな隙間をへつる
ように走ります。

 
 
 
 
 
限界秘境駅 金野駅 
 
 
 
 
千代駅と金野駅へのアクセスには頭を
痛めた。いろいろ調べてみると、
車での訪問はただごとではないことが解った。

中には「運転に未熟な人や山道に
慣れてない人は車での訪問は避けた方が賢明」との
「注意」書きがしてあった。


迷った挙句すぐに結論が出た。
金野駅と千代駅だけはタクシーで行くことにした。
「天竜峡駅」に車を置き
まず「金野駅」へ向かう。
中年の地元の運転者であるがこれら二駅へは初めて
とのこと。
途中で道が分からず、2回ほど
営業所へ電話を入れる。


いかに天竜峡が深い渓谷にあり
交通もままならないか思い知らせれる。
やっと分岐を見い出し、県道1号より南へ下り、
小さな集落を過ぎると幅員は
次第に細くなりいきなりV字谷の急坂が始まる。


車は駅に到達するまで、右に左に転ぶが
如くくだって行く。
途中ところどころには小さな落石もあり気が抜け
ない。
道は下るほど細くなり、半ば過ぎには
ほぼ離合不能となり対向車が来ないことを前提に
走らねば前へは進めないようだ。

出会えばこの曲がりくねった急坂、
両車ともバックは無理なようである。

やがて眼下に家らしきものが見えてきた。
「やっと着いたようですね」と安堵感にも
似た運転者の声。

けれどあたりを見渡しても、駅らしき
ものは何もない。
道はその先にまだ続いているようだ。
再び奥へと進み橋を渡るとやっとその先に
小さなホームが視界に入った。


このように、この金野駅の真の存在感は、
駅ホームから周囲の雰囲気を
視覚や肌で感じる取るのみではなく、

その真骨頂は最寄りの幹線道路から駅に至る甚だ
困難な到達難度によって
外界から閉塞感、孤絶感をより強く感じ取る
ことができるところにあるようです。
 
 
 
 
 
 
 


 


 ホーム待合室
 
 
 
 
 
 
 
 


 
ホーム側には小さな広場が続く
 
 
 
 
 
 
 
 
 



 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 発車を告げる車掌
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
ホーム側は天竜川へ切れ落ちる
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
駅前にはわずかな広場が広がる
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 






 
 限界秘境駅 千代駅
 
 
 
 
 
 
 金野駅に続いて千代駅を訪ねる。
この駅は近くに民家もあり駅前の景観、
地形、駅までの到達難度など金野駅の
小型版のようです。

駅までの距離も金野駅の半分以下ですが、
大変だったことに変わりありません。

地元の運転者ではあったが
あまりの道の悪さと不案内で閉口し天竜峡駅へ
戻った時には、
少し疲れきった様子であった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ホーム待合室
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 駅前は車も回転できる小広場
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
     
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 自転車置場
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
駅前広場
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 金野駅方面
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 限界秘境駅 為栗駅
 
 
国道151号線を伊那郡阿南町和合で、
県道430号へ移り更に進むと県道1号線に
合流する。

その道際に下記のような
「名勝 信濃恋し」の立札あり
それを目印として430号を更に進むと
天竜川に架かる吊橋へ至る。

これより徒歩で吊橋を渡り橋の中ほど
まで来ると、
前方に駅の全体像を小さく捉える
ことができる。

橋からの眺めは満々と水をたたえた
天竜川と周囲の新緑の山々とが融合し、
人知れぬ奥地に美しい景勝地を作り
あげている。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 





 
 為栗駅
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 



 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 






 
手前は為栗駅へ 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 




 
  遠くに「為栗駅」が 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 名勝 信濃恋し
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 
 
天竜峡を跨ぐ吊橋  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
橋を渡ると「為栗駅」が 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
限界秘境駅 田本駅 
 
 
 
 
いづれかの交通手段を利用して
田本駅に降り立つと
それだけで辺境の孤島に放り出されたような
孤絶感につつまれる。

ホームはX字谷を削った断崖絶壁に
へばりつくように細長く延び
その先は天竜川へ切れ落ちる。
まさに絶境の狭間にある駅です。



最寄りの県道より田本駅まで
車で行ける道はない。
但し意外にも歩いては割りとたやすく行ける。
15-20分ほど道を下ればよい。(上り25-35分)


田本駅へは最寄りの県道1号線沿いに
下記のような小さな「田本駅」への案内板
(下段に写真あり)が設置されている。


県道近くの集落の空き地に車を止め、
この標識を目安に歩けば良い。
道は最初の10mほどは立派であるが
あとは急な下り道となり、
獣道のような
鬱蒼とした山道へと変わる。

雑草が繁茂しトレイルは不明瞭で廃道化が
進んでいるようである。
あとで地元の人に尋ねると
この道を利用する人はいないようで
みなさん隣の温田駅へ車での送り
迎えをしているとのこと。


15分ほど進むと
道がやや左へ直角に曲がっている所がある。
右側がやや死角になっており
注意を怠ると左へ進んでしまう。


実はこの死角の
右側下に孤絶した田本駅が見える。
こうして外部より樹林に覆われた獣道にも似た
山道を歩いて来ると、
絶境の地の田本駅がより一層孤絶感を
匂わせます。


 
 
 
 
 
 



 



 



歩道右下に孤絶した田本駅が見える 
 
 
 
 
 
 


 




 




岩肌に沿って細く長いホームが続く 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
駅名標 県道1号線の道標
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 <天竜峡へ架かる吊橋>


眼下に田本駅が見える分岐より、更に奥へ
足を進めれば天竜峡へ架かるこの橋へ来ます。
ここまでくればもう異次元の世界です。

何か推理小説の舞台のようです。
更に橋を渡らず奥へ奥へと進めば遠くに
トンネルが見えてきます。
ここで深追いは止め県道へ引き返します。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
今では鉄道ファンのために引退もせず頑張り
続ける田本駅
 
 
 
 
 
 
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